大判例

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東京高等裁判所 昭和42年(ネ)789号 判決

一、控訴人の申立るところによれば、本件保留地売渡処分は、土地区画整理法一〇八条一項、千葉都市計画登戸土地区画整理事業施行規程に基づくものとして、昭和三八年一二月二〇日付をもつてなされたものであり、右土地区画整理事業は同法三条三項により地方公共団体である千葉市の施行するものであるところ、右の保留地(同法九六条一、二項)とは、土地区画整理事業の施行の費用に充てるため、換地として定めず保留してある土地であるから、保留地の売渡処分の目的は専ら当該土地区画整理事業の財源を得ることにあり、同事業の施行者が地方公共団体や行政庁である場合にも、それ以外に公権力の発動によつて図るべき格別の目的があるわけではない。従つて保留地の売渡は、施行者が法によつて定められた地位、権能に基づくものではあるが、相手方の意思に係りなしに一方的になされるものではなく、その効力の発生は施行者と相手方との契約によるもので、極めて私法的色彩の強いものである。このような保留地売渡の目的・実質に鑑みれば、保留地の売渡をもつて行政庁の優越的な地位に基づく公権力の行使にあたるものということはできず、かかる公権力の行使に関する不服の訟訴である行政事件訴訟法第三条の抗告訴訟の対象となるものと解することはできない。控訴人が右保留地の売渡処分につき抗告訴訟が提起できるとして縷縷主張するところは、いずれも本件保留地の処分をもつて抗告訴訟の対象とすることを首肯せしめるに足るものではない。

そうしてみれば、控訴人の本訴中、抗告訴訟として提起された本件保留地売渡処分の取消を求める部分および同処分の無効確認を求める予備的請求は、いずれも不適法なものといわざるを得ない。

二、また、控訴人は、本件保留地の売渡に先立ち被控訴人が昭和三八年一〇月二日付をもつてなした千建都第五一一号「保留地払下げについて」の払下げ決定の取消または無効確認を求めているが、前記施行規程七条二項に基づくものと解せられる右払下げ決定は、本件保留地の売渡に先立つ施行者の内部における準備行為にすぎず、また前記のように保留地の売渡は相手方との契約関係によつて律せられる性質のものであるから、右払下げ決定によつて具体的な法的効果が発生したり、私人に直接の不利益が生じるというものではない。従つて、右決定をもつて抗告訴訟たる取消訴訟および無効確認訴訟の対象となるものということはできない。よつて、右払下げ決定の取消または無効確認を求める部分も不適法といわねばならない。

三、さらに、控訴人は、本件保留地につき昭和三六年五月二〇日付で右保留地払下げの申請をなしたにもかかわらず、被控訴人はこれに対し何らの処分もしないとして、不作為の違法確認請求をするが、行政事件訴訟法にいわゆる不作為の違法確認の訴えにおいては、行政庁の不作為の前提となる申請者の申請は法令に基づく申請であることを要するのにかかわらず、控訴人のなした前記申請が法令の明文およびその解釈上控訴人につき存する申請権に基づくものとは解されない。よつて、控訴人の不作為の違法確認の訴えも不適法である。

(小野沢 田中 大石)

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